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Agile2018 参加レポート – Day 4 & 5, 総括

Ikuo Suyama By Ikuo Suyama

アジャイル 参加レポート

こんにちは。

アドテクスタジオ、LODEOエンジニアの陶山です。
San Diego で開催された Agile2018 の参加レポート、最後の2日間のレポートとこの5日間の総括をお届けします!

前回までの投稿はこちら:

Day 4.

この日は前日に引き続き、Data, Metricsが話題のセッション中心に参加しました。
これらはまとめて一つのストーリーになりそうなので、別途資料としてまとめて発表、公開する予定です。
今回は、面白かったワークショップの内容をご紹介したいと思います。

Say “Yes” to “No” – The Power of “No” in Agile

by Laura Powers

ワークショップは会場の中を歩き回って、目が合った人の質問にすべて “Yes” / “No” で答える実験を行うところから始まりました。
すべて “Yes” で答えるときは

「あ、一回あそこで会ったよね?XXXさんでしょ!」- “Yes”!!
「クレジットカードの番号教えて!」 – “Yes”!!

など会場に笑いが溢れましたが、 “No” で答えるターンになると

「僕の親友になってよ!」 – “No”!!
「この後食事に行こうよ!」 – “No”!!

Oh… と会場に感嘆が響きます。
“No” のパワーを実感した後、“No” というのはなぜこんなにも hard なのか?という問いかけをディスカッションしました。

“Yes” というのは簡単で、アジャイルの文化にもよくFITする。 でも安直な “Yes” はコミットメントやステークホルダーの信頼の低下を招くこともある、ということが示唆され、最終的には、5つの “No” をうまく使い分けるフレームワークが説明されました。

このフレームワークを利用して、簡単なロールプレイングゲームをグループで行いました。
チームで実際にありそうなシチュエーションが示され、そのシチュエーションに対して5つの “No” を使い分ける練習ができた点がよかったです。

これを使って、チーム内でも適切な “No” を使うコミュニケーションを行いたいと思います!

Day 5.

最終日は Agile Midway という振り返り&次の1年に向けたセッションと、Closing Keynote が展開されました。

Agile Retrospectives の著者である Esther Derby, Diana Larsen 両氏と Retrospective する、という贅沢なセッションもあったのですが、私は以下のセッションに参加してみました。

So You Want To Be a Speaker at Agile 2019?

by Zach Bonaker

後述しますがこの5日間ですっかり Agile Community の虜になり、とても多くのものを受け取りました。
これを還元する一つの方法が自分の実験と得られた知見を共有することなのではと思い、このセッションを聞きに行ってみました。

5日間セッションを聞いて、このカンファレンスへの登壇は自分にとっては途方もなく高い壁に感じられました。
言語の壁、プレゼンテーション能力の壁、恐怖の壁。

それら一つ一つを Zach 氏が丁寧に解し、勇気づけてくれるような内容でした。

そして、最後にプラクティスとしてこれを授かりました。

なるほど、Business Model Canvasの応用で、自分のセッションの設計を合理的に行えるフレームワークです。
これを使って、来年の Proposal Submission に挑戦したいと思います!

Radical Candor: Love your work and the people you work with

by Kim Scott

NYT & WSJ のベストセラー “Radical Candor: Be a Kickass Boss without Losing your Humanity” の著者 Kim Scott 自身による、Radical Candorの説明セッションでした。

Radical Candor(徹底的な率直さ)とは、Kim氏が開発したコミュニケーション/マネジメントフレームワークで、

コミュニケーションを
「Care Personally(個人を思いやる)」

「Challenge Directory(直接的に異議を唱える)」

の2軸で評価し、その両方を同時に実現する象限「Radical Candor」でコミュニケ−ションすることを目指す、といった趣旨のものです。
Keynoteの後、 Kim 氏の Twitter で CheatSheet が公開されました。

セッションでは各象限でのコミュニケーションが具体例で紹介され、なるほど確かに Radical Candor, となったのですが、実際の環境でこれをやるのは訓練が必要と思います。
上手くバランスが取れず、「Ruinous Empathy(破壊的な共感)」や「Obnoxious Aggression(不快な攻撃性)」に行ってしまうのは、誰しも経験があるのではないでしょうか。
よくプラクティスを噛み砕いて、慎重に適応していきたいと感じました。

総括

今回の Agile2018 が自分にとってどういうカンファレンスだったのか?を総括するため、マインドマップを書いて参加したセッションを可視化分類してみました。

今季のゼミ研究テーマとして設定している Metrics に関連するものが多いのですが、結果的に Team Building 関連のセッションにも多く出席しました。

参加したセッションの数とは相関しませんが、自分にとっては以下の3点が特に重要&印象的でした。
あくまで個人的な感想であり、Agile2018カンファレンスのすべてを網羅するものではないことをご了承いただければと思います。

Community & People

何よりも素晴らしかったのが、 Agile Community とそこで出会った人々です。
初日のブライアンの挨拶にあった

Be Kind To Others, Behave Professionally”
We encourage everyone to help in creating a welcoming and safe environment

この言葉の通り、会場で出会う人すべてが親切で、プロフェッショナルでした。
また、知識の多寡・言葉の能力に関係なく議論が行える心理的な安全さがありましたし、コミュニケーションを促進する仕掛けがカンファレンスを通して各所に感じられました。

実際に、ワークショップセッションで隣りに座った人が(やけに話がうまいと思ったら)他のセッションのスピーカーで、そのセッションが終わった後に挨拶できたり、セッションを待つ間に雑談していた人とパーティーで一緒に飲んで再会の約束をしたりと、本当にたくさんの人たちとのコミュニケーションを楽しみました。
Agile Manifesto の価値の1つ「個人と対話」が経験と実感として得られた思いで、とても素晴らしい体験でした。

初日にWoody Zuill 氏と再開した際におっしゃっていた言葉、

「This is Agile, This is why I love agile」

(一言一句同じでないと思いますが)
これが、5日間を通して体に馴染んだ思いです。
私も Agile が大好きになりましたし、このコミュニティに自分もなにか還元したいと強く思うようになりました。

Business Agility & Output, Outcome

その出現頻度、セッションの注目度から、やはり「Business Agility」という言葉が 2018 年の一つのキーワードであったと考えています。
Agile Manifesto の価値の一つに「契約交渉よりも顧客との協調」とあるように、もともと Agile はビジネスのためのものであったはずです。
にもかかわらずこのワードが多く出現したのは、アウトプットを最大化するプラクティスに過度に集中していた流れから、振り子が振れ戻るように本質への回帰が起こった為ではないか、というのが今の見解です。

また Business Agility という用語自体の定義が非常に曖昧で統一見解がない/ビジネス領域への Agile の適応、以上の実装がないように思われ、やはりコンサルティングの方便、といった意味合いも強いように感じます。

その流れで、「Output vs Outcome」、Output ではなく Outcome に注目しようという主張が多く聞かれました。
メトリクス系のセッションで、スピーカーが「私達は、長い間間違ったこと(Output)にフォーカスしてきた」と言っていたのが印象的です。

Output 単体を見ても Outcome の改善は得られませんが、 Output がなければ Outcome を生むことはありません。
又聞きですが Jeff Patton 氏のセッションで、「一枚のお札がアウトカムで、お札が破られた破片の1部がアウトプット(アウトプットは一部だけでは意味をなさない)」という説明があったらしく、自分にはこれが非常にしっくり来ました。

自分の今の視点から見えた Output と Outcome は、上記の様に映りました。

しかしながら私は Agile に入り込んでまだ日が浅く、背景のコンテキストの理解が浅かったり、多く抜けがあったりするため、特にこの領域については「この理解が正しいのか?」また、「なぜこのタイミングで起こったのか?」といった問について明確な答えは得られませんでした。

出会った Agile Experts, Guru たちはやはり知識・経験と照らし合わせ、自分たちのポジションにそれぞれ落とし込んで理解をされていました。
出会った人々に勧めていただいた本や、周辺の知識を吸収して立ち戻ってきて、自分なりの明確な解を探したいと思います。

Data & Metrics

2日目の基調講演に Data の話題が取り上げられたように、 Agile における Data の活用に注目が集まっているのを感じました。
しかしながら、一部セッションを除いてまだまだ内容としては「可視化してインサイトを得よう」という程度に留まっており、本格的な分析・適応/応用事例の報告は見られなかったように思います。

他のプラクティスと同様、同じような環境がない = 各々コンテキストが深すぎて共通抽象概念を獲得しづらい、という事情もあるように思います。
データの蓄積が進めば、昨今の流行として当然機械学習への応用も出てくるでしょうし、まだまだこれから伸びしろのある分野だな、というふうに捉えました。

まとめ

5日間に渡った Agile2018 のセッションレポートをお届けしてきました。
上に書ききれなかった「Mob Programming」や「電動スクーター(!)」など話題はつきないのですが、きりがないので私と出会う機会があれば直接お話しましょう!

今後も Lean/Agile ゼミでは最新の Agile の動向を研究し、成果を様々な形でアウトプットしていきます!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!